『愛の生活/森のメリュジーヌ』『ピクニック、その他の短篇』など
短篇拾い読みはカフカから金井美恵子にまで手が伸びた。
金井美恵子というと最近はうねうねとつづく文体で、事細かな描写がある種の特徴だ、と思うけれど(変なことを言うとすぐ怒られそうだが)、小説デビューの『愛の生活』などでは誰にでも読みやすい文体だった。
『アカシア騎士団』とか『プラトン的恋愛』といった小説になると、文体も今のものと似てくるし、小説の内容も素朴ではなくいわば「メタ小説」、つまり小説というテキストについて言及する小説となっていて、一筋縄ではいかなくなってくる。
『ピクニック』に至ると、とても短い小説なのに、難解すぎて一度読んだだけでは構造がまったく理解できなくなる。
頭が悪いんです。
すみません。
しかし、こういう仕掛け、実験がある短篇小説というのも悪くない。
というより、本来こういう形式の小説が好きだったりする。
単なるスケッチで、文体だけで読ませる短篇にはもちろん味があって好きだけれど、要は何かオチみたいなものがあるほうがさらに好きだな、ということである。
金井美恵子の小説は何よりその文体が読んでいる私をあっという間にその影響下に入れてしまうところがすごいし、こわい。
もうちょっと別の小説を読んで毒消しでもしなくてはいけない気がしてきます。
[amazonjs asin=”4061975781″ locale=”JP” title=”愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫)”]
[amazonjs asin=”4061976435″ locale=”JP” title=”ピクニック、その他の短篇 (講談社文芸文庫)”]