2007年– date –
-
『誕生日の子どもたち』を読む
トルーマン・カポーティ 村上春樹訳 こんなに美しい小説が世の中にはあるんだなあ、とため息が出るほどだ。 カポーティは恥ずかしながらまだ読んだことがなかった。 『冷血』というノンフィクションを噂で聞いていたし、晩年のインチキくさいおや... -
カフカの短篇を読んでいる
『流刑地にて』など カフカ 池内紀訳 白水社から出ているカフカコレクション全八巻のうち、四冊は短い小説、もしくはまさに「断片」といった文章を集めたものになっている。 ときおりその中の文章を気が向いたときに拾い読みするのが、今のちょっとした... -
『ティモシーの誕生日』を読んだ
ウィリアム・トレヴァー 村上春樹訳(『バースデイ・ストーリーズ』所収) ウィリアム・トレヴァーという作家は、先日読んだ『千年の祈り』のイーユン・リーがかれの熱心な読者であり、「創作のすべては彼の作品から学んだ」と訳者あとがきで触れ... -
『夜長姫と耳男』を熱を出しながら読む
坂口安吾 最近ずっと短篇小説ばかり読んでいる。 しかも一人の作家の短篇集を読むのではなく、ひとつの短篇集のうちの一作品を読み、また別の短篇集の一作品を読む、というつまみ食いみたいなことをしている。 これはたとえば音楽家のアルバムを聴く際に、... -
『静物』を読む
庄野潤三 高校生の頃は友だちのいない、いやなやつだったから(今もあまりいいやつとは思えないけど)、『現代国語便覧』といった現代国語(そんな教科は今も存在するのだろうか)の副読本に載っていた芥川賞歴代授賞作とか、近代文学年表に載っている作品... -
『ガラスの靴』を読んだ
安岡章太郎 村上春樹『若い読者のための短篇案内』で紹介されていた作品。 [blogcard url="https://madao-betsuo.com/2007-11-17-074153/"] あらすじは同書で触れられていたけれども、作品を読んでみると、明晰な文体で書かれた切迫する内容に驚く... -
『千年の祈り』を読んだ
イーユン・リー(篠森ゆりこ訳) 以前に著者については紹介した。 [blogcard url="https://madao-betsuo.com/2007-11-18-214551/"] そのあと、ほんとうにじっくりこの短篇集を読み続けた。 小説の力を感じた。 そのうえ、自分の生き方のいい加減さが恥ずか... -
『茄子』はすごいよ
黒田硫黄 『セクシーボイスアンドロボ』の黒田硫黄の作品です。 正直言って、これも一回読んだだけでは歯が立ちません。 登場人物の顔が覚えられない、という問題ではなく、コマとコマとの展開が普通のマンガより飛んでいるのです。 加藤典洋が前にどこか... -
『プラネテス』を読んで、仕事について考える
幸村誠 このマンガも友だちから借りていた本でした。 いちど2巻まで読んだのですが(全4巻)、途中で内容が分からなくなって、しばらく放り出してありました。 で、二度目に読んだら、ようやくすらすらと意味が分かりました。 私の最大の欠点は、登場人... -
『千年の祈り』を読み始める
『あまりもの』(短篇集『千年の祈り』所収)イーユン・リー 以前BS週刊ブックレビューで紹介されていた短篇小説集です。 今は短篇小説を読みたい(もしくはそれしか読めない)ので、角田光代が番組の中で紹介していたのを思い出して手に入れました...