監督 塙幸成
(あらすじ)
みすず(宮﨑あおいさん)は父が死に母が兄といっしょに出て行ってしまったためおばの家で暮らす高校生。おば一家に冷たくされ孤独な高校生活を送っている。兄にもらったマッチを頼りにジャズ喫茶に行き、兄を含めた若者たちと出会う。折からの学生運動に若者たちは巻き込まれ、機動隊員からリンチまがいの暴力を受ける。仲間たちから少し距離を置いていた岸(小出恵介さん)は権力と戦うためにみすずに三億円を強奪する計画を持ちかける。岸とみすずは入念に計画を立て、強奪に成功するが……
三億円事件というと、年齢がほとんどばれるが生まれた頃に近い。
時効を迎えた当時、大きなニュースになっていたことを思い出す。
警官のモンタージュ写真が有名だが、あの犯人が女の子だというトリックである。
ただ、この映画のテーマは三億円事件自体より、仲間との出会いと別れであり、だから事件は比較的あっけなく成功する。
孤独なみすずが兄を含めた仲間たちと出会い、別れ、成長していく話だ。
この映画ではいわゆる「大人」の顔はバイク屋(藤村俊二さん)以外徹底的に排除されている。
おば一家では娘だけが写され、現金輸送車に乗っていた人たち、政治家である岸の親の秘書、機動隊員も身体と声だけで存在している。
少年、少女の王国には大人は入る資格はない。
しかし、みな年をとって大人になっていく。
大人になれない者は死んでいくか消え去るしかないのだ。
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