『涼宮ハルヒの憂鬱』『溜息』『退屈』『消失』『暴走』『動揺』『陰謀』『憤慨』『分裂』『驚愕』谷川流(角川スニーカー文庫)
今さらですが10日間くらいで一気に読みました。
読みやすさのもとは文体にもありますが、キョンの視点から書かれているということにあります。
キョンは決して普通の高校生ではありません。
村上春樹の初期の小説の「ぼく」が普通の社会人ではないのと同じくらいに。
ハルヒたちが起こす事件への巻き込まれ方が抜群にうまいのです。
めんどうなことはいやがりながらも最終的には自ら決断し、責任を取ろうとする。
結局作中人物のみならず、読者である私もキョンに共感することになっていきます。
だいたい私自身が振り回されるという点でキョンと似ているから勝手に共感している部分もあるのですが。
最近のSFとかラノベには疎いので時代錯誤な感想になりますが、私には『時をかける少女』の世界と地続きであるように思えました。
恋愛をしているわけではないけど決してその方向に行かないあたりの雰囲気。
いろいろあってしばらく本が読めない状態が続き、読みやすそうなこのシリーズを手に取ったのですが、おじさんでも充分はまります。
キャラが立っているし、展開も大がかりだし、こりゃ受けるわ、と納得しました。
『分裂』と『驚愕』の間が四年も空いたとのことで、この点だけは遅れてきた読者でよかったと思います。
きっと筋を忘れてしまいます。
そしてブックリストマニアとしては長門有希の100冊も気になるところ。
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登場人物では当然長門、といいたいところですが振り回されるのが嫌いじゃないのでハルヒで。
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