チェン・カイコー監督
三時間近い映画だが 短いエピソードが時系列で積み重ねられていくのでリズムがあって引き込まれる。
芸術と歴史と愛。
そのうちの最大のテーマである芸術=京劇は伝統といい、女形がある点といい、まるで日本の歌舞伎のようだ。
レスリー・チャンは美しいし、チャン・フォンイーはサッカーの高原みたい。
映像はいつももやがかかったようで美しい。
愛についてひたすら描かれている。
愛は非常にめんどくさいということを思い知らされる。
めんどさくても、愛のために生きていかなければいけないことがある。
文化大革命はあまりにもひどかった。
知らなかった。
しかし、人は例えば魔女狩りもそうだが、誰かをつるし上げてスケープゴートにするのが大好きだ。
それは文化大革命だけではない。
今の日本でだって毎日起こっている話だ。
劇内で起こったことを反復させて時間の経過、ノスタルジーを漂わせるのが非常にうまい(例えば、子供の頃歌詞を間違えた事実を何度も反復させる。『ニューシネマパラダイス』のキスシーンのエピソードが似ているかな)。
歴史に対して人間は無力だ。
芸術に生きる者ですら歴史に振り回される。
ましてやただ生きている私をや。
しかし、それは振り返って分かること。
今はただがんばって眼の前の現在を生きるしかないのだ。
それがどんなに滑稽でも。
そんな陳腐な感想しか思いつかないくらい、圧倒的な映画だった。
映画をあまり見ない私なので、この映画を教えてくれた人に感謝します。
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