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『キサラギ』

佐藤祐市監督

 

舞台はビルの一室、登場人物は基本的に5人のみ。まるで舞台の設定のような映画だが、それにもかかわらず時間と空間の広がりがある面白い映画。

一年前に自殺したアイドルの一周忌に集まったファン5人がアイドルについて語り出すが、そのうちアイドルの死因に話が行く。

アイドルはなぜ死んだのか。

ファンである5名の正体が分かっていく。
設定がすばらしい。

そこから生まれてくるドラマは理屈ではなく面白い。

それなのになぜか最後に理屈めいたことを登場人物たちに語らせる。

「ここで5人がそろったことは奇跡だ」「人生には偶然なんてない」(ほんとにそんな台詞だったかどうか忘れた。ばかばかしいと思って聞き流した)みたいなことをどうしてわざわざ語るのか。

それはきちんと映画の総体として語られていたと思う。

そんなことをセリフにしなければならないなら、映画など作らず相田みつをみたいに何か書けばよい。

あるいはそんなことを考えるのが少し古いのか。
文句が多かったが、それだけ面白かった、ということです。

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