『昭和史 戦後篇』半藤一利(平凡社)
先日半藤さんの『幕末史』がひじょうにおもしろかったが、そのときいっしょに手に入れた本。戦争が終わるまでの『昭和史 1926~1945』はすでに友人に借りて読んでいて、これでいちおう半藤さんの『~史』はすべて読んだことになる。
戦後から現代に至る歴史の中で、とりわけよく分かっていないのは敗戦からサンフランシスコ講和条約に至る部分。
憲法についても押しつけられたとよく言われるが、基本的な構図があまりよく分かっていなかった。
半藤さんの語り口でその辺もざっくり把握できた。
戦後はマッカーサーが自ら「神」となって、理想の国を日本に作ろう、と考えたことから始まった。
したがって、GHQの施策の記述が多くを占めている。
憲法は、押しつけられたというのは正しいけれども、経緯としては日本のほうもぐずぐずやっていたし、しかたなかったかな、と。
国際状況が朝鮮戦争など東西対立が激化する中で、日本の戦後の体制作りも一本道では行かなかったのだったが、そんな事情がなかったら今の日本はどうなっていたのかな。
個人的には、あまり知らなかった吉田茂の株がちょっと上昇。
団塊世代については、それより上の世代の半藤さんはちょっと批判的。
『三丁目の夕日』的なノスタルジーは半藤さんのような戦前戦中派にはない、というのはおもしろい。
とにかく半藤さんの本は、がっつり大枠を知るのに最適。
いろいろ批判もあろうが、大枠を知ってから細かいことを勉強していけばいい。
昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989 (2006/04/11) 半藤 一利 |