『私のように美しい娘』フランソワ・トリュフォー監督
これはかなりくだらない(誉めている)映画。
トリュフォーというと私は『アメリカの夜』がとってもおもしろかったが、この映画はむしろ典型的な喜劇。
筋が面白い。
分かりづらいと思いますが、備忘のためなのですみません。
読み飛ばしてけっこうです。
若い社会学者が殺人の罪で留置所に入っているカミーユという女(ベルナデット・ラフォン)に取材に何度も訪れる。
この際にマイクとオープンリールのテープデッキを持って行くのがいけてる。
カミーユは美人でスタイルがすばらしい。
カミーユは罪を犯すまでの生涯を社会学者に語る。
子供の頃、はしごをはずして父親を転落死させたとして少年院みたいな所へ入れられる。
脱走し、ヒッチハイクで捕まえた男と母の二人家族に転がり込み、結婚する。
母親との生活に嫌気が差し、夫婦で逃げる。
酒場で夫婦で勤め始めるが、そこのバンドの男といい仲になる。
それがばれてだんなが店の外に駆けだして交通事故に遭う。
大けが。
バンドの男にも妻がいて、これまたもめてカミーユが逃げ出すと、害虫駆除業者の男の車に出くわすことになり、知り合う。
害虫駆除の男はいつも金をくれる。
しかし宗教的に厳格で、なかなか手を出さない(結果的には手を出す)。
さらにだんなの交通事故の処理を行う弁護士ともつきあい出す。
「24時間で4人とつき合うのはたいへん」。
弁護士に金をむしり取られていることがわかり、だんなともども害虫駆除の薬で殺そうとする。
しかし害虫駆除業者が発見し、二人を救う。
害虫駆除業者は神の許しを得るために、カミーユとともに教会の塔から身を投げようとする。しかし塔から落ちたのは害虫駆除業者だけで、カミーユは助かる。
その結果、カミーユが突き落とした、として拘留されている。
カミーユは無実だと言い、すっかりカミーユに惹かれてしまった社会学者は奔走し、たまたま害虫駆除業者が自ら落ちていく場面を子供が録った16ミリフィルムを見つけ出した。
カミーユは出所後自分の境涯を歌い、歌手として世に出る。
社会学者はカミーユの部屋に行き、結ばれそうになったところで、カミーユの夫が母親の遺産が手に入ったとやって来て、もめる。
社会学者が気絶している間に夫が射殺されており、社会学者は殺人容疑で拘留される。
社会学者は新たに老弁護士にカミーユの過去の罪(義母殺し)の証拠が夫の実家にあることを説明し、弁護士はそれと引き替えにカミーユに自白を迫る、と誓うが、刑務所の掃除をしながら社会学者がテレビで見たのは、カミーユと弁護士が手を絡み合わせ、夫の実家がその弁護士の指図によって破壊されていくさまだった。
だらだらと書いたが、映画ではスピードがすごい。がんがん展開していく。
社会学者がカミーユにどんどんやられていく様が情けないが、たぶんああいう悪女には多くの男はやられてしまう。
自戒。
ただ、カミーユは打算だけで身体を許しているわけではなく、どの人もそれなりにいいところがある、と社会学者に語る。
悪女というよりは、そうやってしか生きていけないタイプの人間。
だからみんなに愛されてしまうし、愛してしまう。
ラストシーンは社会学者の秘書で、彼に好意を持っているタイピストの女の子が、刑務所のそばのアパートのベランダでタイプを打っているというもの。
彼女がいったい何を打っているのか。社会学者の書こうとした論文の続きなのか、気になった。
とにかくカミーユが魅力的。
それから、害虫駆除業者のストイックぶり(暴かれちゃうけど)が面白い。
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