『ゲッタウェイ』サム・ペキンパー監督
銀行強盗して、逃走して、国外に逃げのびることができるか、という話。
「明日に向って撃て!」とか「俺たちに明日はない」とかの系統と見ている途中で判断。
そうすると結局はうまく逃げ延びることはできないのだなあ、あああ、と暗い気持ちになりながら見ていたのだが、最終的には救われる映画でした。
救われすぎなのが問題という意見もあるのかもしれないが、「フィッシャーキング」でも書きましたけどいかにハードルを高く設定して、それを超えようとするかというのが作り手の志みたいなもので、無理筋でも何でもとにかく強行突破してしまう、という感じが私にはよかった。
サム・ペキンパーは十年以上前に『ガルシアの首』を見た。
なんというか、汗とか汚れとかぼろぼろの服とか、そういった「感じ」は同じで、それっていまの自分の生活からはずいぶん離れちゃっているだけにむしろよい「感じ」として見ていた。
救いの話に戻ると、救われているのは主人公たちと、それを見ている私だけで、出てくる挿話はどうしようも救いのない話が続出。
スティーヴ・マックイーンを殺そうと追いかける男が、医者の夫婦の家に乱入し、銃で脅して車を夫に運転させるんだけど、奥さんの方が脅されていたはずの男とできてしまい、宿泊先では夫は椅子にテープでぐるぐる巻にされ、残る二人が情事に耽る。
で、夫は結局首つって自殺してしまう、というのがもっとも救いのない話だが、それをまったく説明しようともせず、ただそこにある事実として淡々と描写していく手法はすごいなあ。
そのとんでもないクールさが逆にハッピーエンドを納得させる力を持たせているのではないかと思った。
クインシー・ジョーンズの音楽がかっこいい。
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