古屋美登里 BURRN!叢書
単なる「読書感想文」あるいは「読書報告文」から脱け出すためにどうすればいいか。
書評をもっと読んでみよう、と考えました。
書評というと新聞か「週刊文春」に掲載されているものしか読んでいません。
あ、もちろん「シミルボン」は読んでますー。
『雑な読書』が好評の古屋美登里さんの『楽な読書』を読んでみました。
『楽な読書』は雑誌『BURRN!』に連載された書評をまとめたものです。
古屋さんは翻訳家。
「海外のフィクション」「日本のフィクション」「ノンフィクション」「倉橋由美子」の四つの章と、巻末には、古屋さんと杉江松恋さん、古屋さんと「BURRN!」編集長の広瀬和生さんとの対談が収められています。
「楽」は「楽しい」の意味だそうです。
書評の対象となる本は『失われた時を求めて』もあれば『20世紀少年』『経済学の宇宙』までいろいろ。
読んでいない本多数なので、有益なブックガイドになります。
その文章は変幻自在です。
オーソドックスな書評スタイルから、短編小説?と思わせるもの、落語家になりきって評するものなど、極めて多彩で、楽しい。
本を使って書くことで、こんなことまでできるのか、と驚きました。
そして同時にその本を読みたくさせる。
倉橋由美子はわたしも好きな作家です。
このブログでは過去に二度取り上げています。
(ブログの引っ越し作業により、体裁がガタガタになっていますが)
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いちばん好きなのは『スミヤキストQの冒険』で、最初に買った講談社文庫を大切に持っています。
あの小説の「どこにもない場所」にまた行ってみたい、とずっと思っています。
古屋さんの切れのいい文章は、倉橋由美子から来ているものなのでしょうか。
対談で、冒頭の一行と最後の一行にはかなり力を入れている、といっています。
翻訳をしていると、どの作家もその二箇所に力を入れているのを感じるのだそうです。
書評だから「伝える文章」でいい、と思ってきましたが、「読ませる文章」ということも意識すべきなのですね。
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