松林薫 慶應義塾大学出版会
先日、上阪徹さんの『10倍速く書ける超スピード文章術』を読みました。
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常日頃から書く材料を仕入れておくこと。
とにかく書きあげてあとでじっくり直すこと。
速く書くことだけではなく、書くことについて全般について参考になりました。
しかし最近、書く時間をさらに短くできないだろうか、と思い始めていました。
インプットの時間がなかなかとれません。
今は書く時間があるからいいのですが、今後のことを考えると15倍くらい速く書けた方がいい。
著者の松林さんは2014年まで日本経済新聞の記者だった方です。
新聞記者が、スピードと正確性を要求されるプレッシャーの中でなぜ速く原稿を書けるのか。
理由は、文章の徹底した「モジュール化」にある、といいます。
現代のモノづくりにおいて部品の標準化が進んでいるのと同じように、記者の文章にも定型表現がたくさん使われています。
その定型表現がひとかたまりになったのが、文章のモジュール。
新聞の文章は規格化されていて、どの記者が書いても同じような形になるし、全国紙から地方紙まで基本的にほとんど違いがありません。
私たちは、こうした新聞の文章の基本の型をまずは身につけるべきだ、と松林さんはいいます。
文章を書く上での「構成」の重要性は『10倍〜』にもありましたが、本書では「スケルトン」という文章の設計図を作ることが重要視されています。
文章に盛り込む材料を集めた後、「スケルトン」を作る作業に入ります。
「スケルトン」は①仮見出し(15〜20字)②要約、要旨(150〜200字)③本文の構成(1段落分1行)の三点からなります。
「仮見出し」はまさしく新聞の見出し。
テーマと言ってもいいでしょう。
その「仮見出し」に基づいて「要旨」を書きます。
「本文の構成」は「起承転結」などの基本パターンから選びます。
それぞれの「モジュール」(「起」とか「承」といった部分)に「パラグラフ(段落)」を入れていきます。
「スケルトン」ができたら、あとは文章を一気に書きます。
基本的な考え方は『10倍〜』と同じです。
とにかく最後まで書いて、そのあと徹底的に直していく。
ほかにも取材のしかたや推敲の方法、説得力を高めるための図や写真の入れ方まで、新聞記者だった方ならではの内容が書かれていて、かなり親切です。
ということで、この本にしたがって書いてみました。
「スケルトン」は思いのほか役に立ちました。
スケルトンづくりには、アウトライナー(「Workflowy」とか「Dynalist」)がかなり有効です。
内容はともかく、従来より12倍くらい速く書けました(当社比)。
このあいだ見た、映画「ペンタゴン・ペーパーズ」の新聞記者ほどではありませんが。
長い文章を書くときにも役立ちそうな良書です。