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『道徳形而上学の基礎づけ』
I・カント 宇都宮芳明訳(以文社) 村上春樹の小説で主人公が『純粋理性批判』を読んでいるのを読んで以来、カントは読まなくてはいけないと思い、入門書やらは読んだことはあったものの、恥ずかしながら原典に初めて当たった。 柄谷行人も竹田青... -
『世界史の構造』
柄谷行人(岩波書店) 柄谷行人の本は分からないなりにずうっと読んできた。 この分厚い本は、今までよりもずうっとわかりやすく書かれている。 『マルクスその可能性の中心』『日本近代文学の起源』あたりを読んでいたときには、いったい私はどこ... -
『切りとれ、あの祈る手を 〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』
佐々木中(河出書房新社) 興奮しながら読んでしまったので、いつもにましてうまく書けない。 これはすばらしい本。 とにかく読むしかない。 説明は要らない。 本や文学に興味があるのなら読んだほうが絶対に得だ。 読んだ者は明らかに変わる。もしくは狂... -
『芭蕉入門』
井本農一(講談社学術文庫) 先日読んだ『小林一茶』(宗左近 集英社新書)の中で、著者は芭蕉と蕪村のことをこの上なく尊敬している、と言い切っている。 恥ずかしいことに芭蕉も蕪村もいくつかの句を除いては、ほとんどのことを知らない。 とい... -
『小林一茶』
宗左近(集英社新書) 信州に出かける用事があり、何の本を持って行こうかと考えたら、信州は小林一茶のふるさとだということを知り、この本を持って行った。 俳句や短歌のことはほとんどわからない。ましてや一茶についてはいくつかの有名な句しか... -
『白痴』
ドストエフスキー 望月哲男訳(河出文庫) 高校生の時に読んだのだが、いつもどおりほとんど覚えていない。 ムイシュキン公爵(今回の訳では「ムィシキン」)が無垢な存在であるということと、興奮して読んだということの記憶だけがあった。 高校... -
『赤と黒』
スタンダール 野崎歓訳(光文社古典新訳文庫) 『赤と黒』はおそらく私が中学~高校で「文学」として最初に読んだ小説の一つだ。 なぜ『赤と黒』だったのかあまり覚えていないのだが、きっと学校の国語の副読本で「心理小説の最高峰」みたいなこと... -
『それでも、日本人は戦争を選んだ』
加藤陽子 日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変~日中戦争、太平洋戦争それぞれの戦争を行う決断へ向かった背景を学生との対話形式で描いた本。 戦争は悪だ、というよくあるパターンの思考形式から書かれているわけではないので、風通しが... -
『考えよ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』
イビチャ・オシム オシムはJEFの監督の頃から大好きだ。 オシムの本はいくつか出ているが、この本はオシム本人が一応書いた体裁となっている点で、私がこれまで読んできたオシム本とは異なる。 前半は日本代表へのアドバイスみたいなものを含め... -
『東京島』
『東京島』桐野夏生(新潮文庫) 桐野夏生の小説を読むのはこれが初めてだ。谷崎潤一郎賞を取ったのは知っていたし、孤島に女一人と男が数十人というシチュエーションの小説だということも知っていた。 どちらかというと谷崎賞を取ったからというよりは、...