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『となりのカフカ』でカフカを好きになる
池内紀 聞いたことのあるタイトルだな、と思って考えていて、ひとつはとうぜん『海辺のカフカ』なのだが、もうひとつは『となりのトトロ』だったのね。 この本はカフカについて知るための「初級クラス」の本だという。 しかし、密度が濃くて、じゅ... -
『百鬼園随筆』でユーモアをまなぶ
内田百閒 内田百閒は初めて読んだ。 随筆というよりは短編小説という感じがする。 借金のことばかり書いている。 本人にとってはきつい話なのかもしれないが、あまりきつそうに見えない。 常にユーモアを持ってじぶんのことすら見ている。 わたしなどはじ... -
『死をポケットに入れて』はなかなかすごい
チャールズ・ブコウスキー 中川五郎訳 ブコウスキーは73歳で死んだ。 この本はブコウスキーが71歳から72歳まで書いた日記だ。 それまでタイプライターで執筆していたブコウスキーがMacを手にしたのを契機に日記を書き始めたのだという。 ... -
実は読んではいたが
『誰も知らない世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義』松岡正剛 『謎とき村上春樹』石原千秋 『日本の行く道』橋本治 年末年始でとびとびに上記の本を読み、さらにあいだにはヘミングウェイの短篇集などを拾い読みしたりしていたのだが、なんだかま... -
『文章読本さん江』を読む
斎藤美奈子 斎藤美奈子の本は『妊娠小説』『冠婚葬祭入門』と読んできた。 斎藤美奈子の視点や、切り口や、裏付けの史料の膨大さもすばらしいが、何より文体が大好きだ。 などと、この『文章読本さん江』を読むと文体のことをうかつには言えなくなってしま... -
『よだかの星』をまた読んで
宮沢賢治 宮沢賢治の本はこどもの頃から読んでは来たけれど、正直言って『銀河鉄道の夜』とか『風の又三郎』がきちんと読めていたか、というと心許ない。 また読み直すことにしたけれど、そのなかで『よだかの星』はこどもの頃から読むのがつらい話だった... -
『パルプ』だよ人生は
チャールズ・ブコウスキー 柴田元幸訳 以前読んで、今回再読。 たぶん、初めて読んだときは相当読み飛ばしたのだろうな、と思う。 だってこの小説、かなり変なんだ。 探偵が依頼を受けて解決しようとする、というのが大きな話なのだが、この探偵、... -
『大聖堂』などカーヴァーの小説を読み続ける
村上春樹の訳したレイモンド・カーヴァーの短篇集を何冊か買って、順番に読むことをせず、適当に(解説なども参考にしながら)読んでいく。 これって好きなミュージシャンのアルバムを何枚か買って、シャッフルで聴いているのとよく似ている。 いままでこ... -
『くずれる水』『あかるい部屋のなかで』を読む
金井美恵子(『ピクニックその他の短篇』所収) 『くずれる水』を読んでいると、昔読んだ蓮實重彦の『陥没地帯』と雰囲気が似ているな、と思った。 [amazonjs asin="4309024866" locale="JP" title="陥没地帯/オペラ・オペラシオネル"] 『陥没地帯』は私が... -
『ささやかだけれど、役に立つこと』はすごい
『ささやかだけれど、役に立つこと』レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳(『大聖堂』所収) 『頼むから静かにしてくれ』がデビュー時の作品を集めたものだったのに比べて、『大聖堂』に収められている諸編は村上春樹の解説によれば、成熟期の作品であると...