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『ねじまき鳥クロニクル』を読む
村上春樹 精神的にも肉体的にもにっちもさっちもいかない状況で、いつか読み直そうと思っていたこの本を久し振りに読んだ。 たぶん通して読んだのは出版されてすぐに読んで以来だと思う。 最初に読んだときは、あまりに物語の世界が深く、広いこと... -
『ティファニーで朝食を』を読む
トルーマン・カポーティ 村上春樹訳 『ティファニーで朝食を』の映画はたぶん見ているのだろうが、例によってあまりはっきりおぼえていない。 「ムーンリバー」だけ別の機会に聴いているだけなのかもしれないが。 ホリー・ゴライトリーという女性のキャラ... -
『井戸』を読む
オネッティ(集英社「ラテンアメリカの文学」5巻所収) 1984年10月15日第1刷発行と書かれた「ラテンアメリカの文学 5」の『はかない人生/井戸/ハコボと他者』については、もう15年くらい前に友人の引っ越しを手伝ったときに不要だか... -
『木曜日だった男』を読む
『木曜日だった男 一つの悪夢』 チェスタトン 南條竹則訳 チェスタトンというとブラウン神父シリーズだが、いちおうこの小説も推理小説に入るのだろうか。 無政府主義結社を摘発するために無政府主義者に扮して侵入した詩人である刑事の物語。 日曜日か... -
ソローキンのどうしようもない小説
あいかわらずまともに本が読めず、こまったものだと思う。 読みたい気持ちはあるのだけれど、本に向かっていく気持ちが弱い。 とりあえず『考える人』2007春号の特集「短篇小説を読もう」の中で、豊崎由美さんが紹介していたウラジミール・ソローキンの『... -
『海に住む少女』を読んだ
シュペルヴィエル シュペルヴィエルの名前を知ったのは大岡信と谷川俊太郎の『対談現代詩入門』の中で、若い頃の両詩人が影響を受けた、というのを読んだからだった。 詩集を手に入れようと思ったのだけれど、絶版で、古本もとても高いから読めないと思っ... -
『灯台守の話』を読む
『灯台守の話』ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳(白水社) BSブックレビューで紹介されていて手に取った小説。 物語についての物語。 孤児になった少女シルバーが灯台守の老人ピューに引き取られる。 ピューはシルバーに物語を語る。 ... -
『あまりにも騒がしい孤独』を読む
ボフミル・フラバル Amazonで本をあれこれ探していたら、たまたま行き当たって手に入れた本。 チェコの作家というとカフカくらいしか知らなかったが、タイトルが気に入ったので読んでみた。 本についての小説であり、また、チェコの置かれていた状... -
詩を読むこと
ここのところ、詩を読んでいる。 『戦後名詩選Ⅰ、Ⅱ』というのを中心にして、うちにあるいくつかのほこりをかぶった詩集を読んでいる。 詩をこの年齢になるまで読めないでいた。 読み方がわからなかったのだ。 詩集があるとして、それを頭から順番にきっち... -
『蝶のゆくえ』を読んでほかのものが読めなくなる
橋本治 高橋源一郎がすごいと言っていた橋本治の短篇集が文庫になったのでさっそく読んだ。 すごい。 特に最初に置かれている『ふらんだーすの犬』。 児童虐待の話を、子供の側から書いている。 救いも何もない話。 徹底的なリアリズム。 たぶん、こういう...