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『肉体の悪魔』に驚愕する
ラディゲ 中条省平訳 この本も再読だが、前に読んだときは確か新潮文庫で読んだ気がする。 それも高校生の頃だ。 物語の筋書きだけを取り出せば、凡庸きわまりないものです。早熟な少年が、人妻に恋をし、その夫が戦争に行っているのをいいこと... -
『予告された殺人の記録』に引き込まれる
G・ガルシア=マルケス 野谷文昭訳 この本も再読。だけど、かなり読み飛ばしたんだなあ。まるで覚えていませんでした。 自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。 この小説はこのように始まる... -
『聖少女』を読んだ
倉橋由美子 倉橋由美子は『パルタイ』や『スミヤキストQの冒険』を何度か読んだ、好きな作家だが、どういうわけかそれ以上読まなかった。 松岡正剛さんが「千夜千冊」でこの小説を取り上げていたのが読もうとしたきっかけである。つい最近新潮文庫で復刊... -
『ナイフ投げ師』でミルハウザーに嵌る
スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 ミルハウザーの本は何冊か買ったが、読み通したのはこの本が最初だ。 どうして読み通すのが難しいかというと、文章が濃密だということだろう。 うまくそのリズムに入り損ねると読めない。 しかし嵌ってしま... -
『百鬼園随筆』でユーモアをまなぶ
内田百閒 内田百閒は初めて読んだ。 随筆というよりは短編小説という感じがする。 借金のことばかり書いている。 本人にとってはきつい話なのかもしれないが、あまりきつそうに見えない。 常にユーモアを持ってじぶんのことすら見ている。 わたしなどはじ... -
『死をポケットに入れて』はなかなかすごい
チャールズ・ブコウスキー 中川五郎訳 ブコウスキーは73歳で死んだ。 この本はブコウスキーが71歳から72歳まで書いた日記だ。 それまでタイプライターで執筆していたブコウスキーがMacを手にしたのを契機に日記を書き始めたのだという。 ... -
『よだかの星』をまた読んで
宮沢賢治 宮沢賢治の本はこどもの頃から読んでは来たけれど、正直言って『銀河鉄道の夜』とか『風の又三郎』がきちんと読めていたか、というと心許ない。 また読み直すことにしたけれど、そのなかで『よだかの星』はこどもの頃から読むのがつらい話だった... -
『パルプ』だよ人生は
チャールズ・ブコウスキー 柴田元幸訳 以前読んで、今回再読。 たぶん、初めて読んだときは相当読み飛ばしたのだろうな、と思う。 だってこの小説、かなり変なんだ。 探偵が依頼を受けて解決しようとする、というのが大きな話なのだが、この探偵、... -
『大聖堂』などカーヴァーの小説を読み続ける
村上春樹の訳したレイモンド・カーヴァーの短篇集を何冊か買って、順番に読むことをせず、適当に(解説なども参考にしながら)読んでいく。 これって好きなミュージシャンのアルバムを何枚か買って、シャッフルで聴いているのとよく似ている。 いままでこ... -
『くずれる水』『あかるい部屋のなかで』を読む
金井美恵子(『ピクニックその他の短篇』所収) 『くずれる水』を読んでいると、昔読んだ蓮實重彦の『陥没地帯』と雰囲気が似ているな、と思った。 [amazonjs asin="4309024866" locale="JP" title="陥没地帯/オペラ・オペラシオネル"] 『陥没地帯』は私が...