Novel– category –
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『千年の祈り』を読み始める
『あまりもの』(短篇集『千年の祈り』所収)イーユン・リー 以前BS週刊ブックレビューで紹介されていた短篇小説集です。 今は短篇小説を読みたい(もしくはそれしか読めない)ので、角田光代が番組の中で紹介していたのを思い出して手に入れました... -
『阿久正の話』を自分なりにきちんと読んでみる
長谷川四郎 『若い読者のための短編小説案内』の流れで、以前読めなかったこの小説を読みました。 [blogcard url="https://madao-betsuo.com/2007-11-17-074153/"] 年を取ったせいでしょうか、意外と読みやすい小説だったと思います。 ただし小説としては... -
『スプートニクの恋人』を久しぶりに読んでいろいろ考えました
村上春樹 *この記事はネタバレを含みます 久しぶりに読み返してみた。短いけど、悲しい話です。 ぼくはこの小さなギリシャの島で、昨日初めて会ったばかりの美しい年上の女性と二人で朝食をとっている。この女性はすみれを愛している。しかし性欲を感じ... -
『ヴェネツィアに死す』を退屈しながら読み返す
『ヴェネツィアに死す』マン 岸美光訳 (光文社文庫) 学生の頃に新潮文庫で『ベニスに死す』を読み、そのあとヴィスコンティの映画を見た。 老人が少年に恋して死んでいく、という筋しか覚えていなかったが、映画で夏の海岸で老人が白いスーツを着てい... -
『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』はおどろおどろしく楽しい
『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』小山鉄郎 これは、漢字が持つ体系的なつながりを明らかにして文化勲章を受けた漢字学の第一人者・白川静さんに、漢字の成り立ちや体系を楽しく教えてもらった本です。 毎回、白川静さんに直接取材して、漢字の成り立ち... -
『百年の孤独』といってももちろん焼酎ではない
『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス 鼓直訳 たぶん、高校生のときに図書館で借りて読んだように記憶しているが、今回じっくりじっくり舐めるように読み返して、高校生では相当適当に読み飛ばしたんだなあ、と思うほどに濃密な小説だった。 ここのところ... -
『夜明け前のセレスティーノ』にくじける
『夜明け前のセレスティーノ』レイナルド・アレナス 安藤哲行訳 これは私には全く歯が立たなかった小説でした。 とりあえず、訳者の解説から。 夜でも朝でもない「夜明け前」は、自我が確立し社会に組み込まれる以前の主人公=語り手(十歳くらいの男の子... -
『エレンディラ』のことは忘れない
『エレンディラ』ガルシア=マルケス 鼓直・木村榮一訳 久しぶりに小説を読んでいて、こころがひっくり返されるような気がした。 短篇集で、以下の七編からなる。 1『大きな翼のある、ひどく年取った男』 2『失われた時の海』 3『この世でいちばん美し... -
『地下室の手記』から解放感を味わう
『地下室の手記』ドストエフスキー 安岡治子訳 光文社の古典新訳文庫で読んでみた。 たぶんずっと昔に新潮文庫で読んだのだろうが、いつものように内容をほとんど覚えておらず、はじめてのように読めた。 第1部「地下室」は哲学書のような体裁。 一般的... -
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』『子猫が読む乱暴者日記』良い良い。
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』『子猫が読む乱暴者日記』中原昌也 続けて読んだのでひとまとめに。 いずれも短編集だけど、何度か同一と思われる登場人物が現れる。 だが、別にいわゆる短編連作、というわけではない。 そもそも、高橋源一郎と保坂...