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『ドストエフスキー 謎とちから』でドストエフスキーブームが来る
亀山郁夫 著者は『カラマーゾフの兄弟』の新訳を光文社文庫から出して昨年話題となった人。 しかし改めて書くが、この本でのわたしの試みは、ドストエフスキーを読み慣れた読者たちの感性を、少しでも生まれ変わらせたいという切なる願いに発して... -
『となりのカフカ』でカフカを好きになる
池内紀 聞いたことのあるタイトルだな、と思って考えていて、ひとつはとうぜん『海辺のカフカ』なのだが、もうひとつは『となりのトトロ』だったのね。 この本はカフカについて知るための「初級クラス」の本だという。 しかし、密度が濃くて、じゅ... -
実は読んではいたが
『誰も知らない世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義』松岡正剛 『謎とき村上春樹』石原千秋 『日本の行く道』橋本治 年末年始でとびとびに上記の本を読み、さらにあいだにはヘミングウェイの短篇集などを拾い読みしたりしていたのだが、なんだかま... -
『文章読本さん江』を読む
斎藤美奈子 斎藤美奈子の本は『妊娠小説』『冠婚葬祭入門』と読んできた。 斎藤美奈子の視点や、切り口や、裏付けの史料の膨大さもすばらしいが、何より文体が大好きだ。 などと、この『文章読本さん江』を読むと文体のことをうかつには言えなくなってしま... -
『若い読者のための短編小説案内』を読んでもう一度短編小説たちを読もうとする
村上春樹 これも再読です。 気持ちがいまいち乗らないときは村上春樹を手にする、というのが私にとって落ち込みを乗り切る方法のひとつです。 講義(授業)をもとにした話し言葉の文体で書かれたこの本は、村上春樹の肉声に近く、安心した気持ちですいすい... -
『退屈論』を読んでもまったく退屈しない
『退屈論』小谷野敦 「人間の不幸は、自分の部屋にじっとしていられないことだ」(パスカル。本書p228) 小谷野敦といえば著者には申し訳ないような気もするがやっぱり『もてない男』だが、私はむしろ『バカのための読書術』を読んで、ああ確かにわたしゃ歴... -
『橋本治という行き方』で読書について考えてみる
『橋本治という行き方』橋本治 ここ二ヶ月ほど、本を読むことができなかった。ばたばたしていたせいもあるし、暑かったせいもある。 ばたばたしていたというのは、急遽車を買い換えることになり、その選定のためにカタログやらをずっと読んでいなくてはい... -
『現代小説のレッスン』で考えたことつづき。
『現代小説のレッスン』のつづき。 今まで考えてきたことは、どうして小説とそれ以外の散文(批評とか評論とか思想の本とか・・・)は書き分けられなければならないのだろうか、ということだった。 それはフィクションとノンフィクションの違いだ、という... -
『現代小説のレッスン』を読んだ
『現代小説のレッスン』石川忠司 この本はすでに出た当初(一年半くらい前?)に読んでいたはずだった。 だけどあまり記憶がない。 だいたい読み方が適当なんだけど、石川忠司自体をほとんど知らなかったので、大したことのないやつと勝手に決めつけてぱら...