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『ミラーズ・クロッシング』
コーエン兄弟制作 禁酒法時代のある街のマフィアの抗争の映画。 と言ってもそんなに重厚な映画ではない。 二人のマフィアの親分の権力争いを戯画的に描いていて、その中で切れ者の主人公が渡り合いながら生きていくという話。 主人公のトムは頭が切... -
『ユング』『ユング心理学入門』『創造する無意識』
『ユング』アンソニー・ストー 河合隼雄訳(岩波現代文庫) 『ユング心理学入門』河合隼雄(岩波文庫) 『創造する無意識─ユングの文芸論』ユング(平凡社ライブラリー) しばらく本を読む気がせず、ぼんやり過ごしていた。 書棚に、昔古本屋で買... -
『キサラギ』
佐藤祐市監督 舞台はビルの一室、登場人物は基本的に5人のみ。まるで舞台の設定のような映画だが、それにもかかわらず時間と空間の広がりがある面白い映画。 一年前に自殺したアイドルの一周忌に集まったファン5人がアイドルについて語り出すが、そ... -
『吉本隆明1968』
鹿島茂 吉本隆明というと、私にとっては『共同幻想論』や『言語にとって美とは何か』を読もうとして歯が立たなかった相手であり、吉本ばななの父であり、反核運動に非を唱えた若干変わった人であり、糸井重里が今一番押している人物の一人であるという、漠... -
『あなたの苦手な彼女について』
橋本治 たぶん以前にも書いたのだろうが、橋本治の新書を読むということは、橋本治の思考の道筋をたどりながら読むことなので、わかりやすい結論にすぐ到着することはない。 回り道、脱線は当たり前だけれども、思考とはそもそも一直線では行かない... -
『バートン・フィンク』
コーエン兄弟 監督 コーエン兄弟の映画は2作しか見ていないけれど、村上春樹の小説と兄弟みたいなものかもしれない。 死、性、暴力、謎、比喩、そして物語が散りばめられている。 分からなくてもいい。 物語として受け止め切れれば。 いろいろ分析するの... -
『1Q84』
村上春樹 村上春樹の新作は『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』や『海辺のカフカ』のように、二つの話が交互に平行して進行していくスタイルの長編小説でした。 スピード、サスペンス、そして闇。 暴力や邪悪なものとどのように拮抗し... -
『ノーカントリー』
監督 ジョエル&イーサン・コーエン 原題は「No country for Old men」 人がばたばた殺されていく、ひどく美しい映画。 どうしてこれほどに惹きつけられるのか。 ターミネーターみたいな殺し屋シガーがかっこいい。 頭がよすぎて誰もついて来られない。 ... -
『多読術』
松岡正剛 松岡正剛が好きだし、本の読み方の指南書みたいなものも好きなので早速読んだ。 編集者を聞き手として松岡さんが語る形式。 本をそんなにありがたいものと思ってたてまつる必要はない。 毎日食べる食事みたいなもので、気分によって食べた... -
『アクロイド殺し』
アガサ・クリスティー 羽田詩津子訳 アガサ・クリスティーについては恥ずかしながら読んだことがなくて、友だちがこの作品と『そして誰もいなくなった』を読んでおけばいい、と前に言っていたのを思い出して読んでみた。 最初は退屈な感じで読むの...