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詩を読むこと
ここのところ、詩を読んでいる。 『戦後名詩選Ⅰ、Ⅱ』というのを中心にして、うちにあるいくつかのほこりをかぶった詩集を読んでいる。 詩をこの年齢になるまで読めないでいた。 読み方がわからなかったのだ。 詩集があるとして、それを頭から順番にきっち... -
『蝶のゆくえ』を読んでほかのものが読めなくなる
橋本治 高橋源一郎がすごいと言っていた橋本治の短篇集が文庫になったのでさっそく読んだ。 すごい。 特に最初に置かれている『ふらんだーすの犬』。 児童虐待の話を、子供の側から書いている。 救いも何もない話。 徹底的なリアリズム。 たぶん、こういう... -
『詩人・評論家・作家のための言語論』を読む
吉本隆明 荒川洋治の『文芸時評という感想』でこの本について書かれていたので読むことにした。 以前、吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』を読んでみたが挫折したのだが、それにつながるもので、「読者に無理のないように構成されているので、読みや... -
『日記をつける』を読み、日記欲が湧く
荒川洋治 マイブーム荒川洋治の本だったので、とりあえず読んでみた。 日記についてはあまり興味がない。 子供のころなんども「三日坊主」でやめたから、もう書かないと決めたのだ。 ブログは続いているけれど、日記とはまた違うような気もするし。 しかし... -
『詩とことば』で詩に興味を持つ
荒川洋治 ぼくは詩が読めない。 読もうとするのだが、なにか違和感があって、結局うまくいかない。 とくに現代詩、という世界にはなにか必要とすべきものがありそうな気がするのだが、どうしても入り込めない。 すばらしい散文(『文芸時評という感... -
『文芸時評という感想』の感想
荒川洋治 高橋源一郎が『ニッポンの小説』でこの本から長々と引用しており、いつか読みたいと思っていた。 このあいだ読んだ加藤典洋の『言語表現法講義』でも荒川洋治に言及されていたので、ようやく手に取った。 よかった。 文芸時評というと、や... -
『肉体の悪魔』に驚愕する
ラディゲ 中条省平訳 この本も再読だが、前に読んだときは確か新潮文庫で読んだ気がする。 それも高校生の頃だ。 物語の筋書きだけを取り出せば、凡庸きわまりないものです。早熟な少年が、人妻に恋をし、その夫が戦争に行っているのをいいこと... -
『予告された殺人の記録』に引き込まれる
G・ガルシア=マルケス 野谷文昭訳 この本も再読。だけど、かなり読み飛ばしたんだなあ。まるで覚えていませんでした。 自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。 この小説はこのように始まる... -
『言語表現法講義』を読み返してみた
加藤典洋 昔読んだものの再読。 「文間」の問題などについて読み返してみたかったのでぱらぱらめくっていたら全部読んでしまった。 大学生を相手にした講義をもとにした本。 文間については、このようなこと。 一つの文と次の文の間、それは怖い。一回、... -
『聖少女』を読んだ
倉橋由美子 倉橋由美子は『パルタイ』や『スミヤキストQの冒険』を何度か読んだ、好きな作家だが、どういうわけかそれ以上読まなかった。 松岡正剛さんが「千夜千冊」でこの小説を取り上げていたのが読もうとしたきっかけである。つい最近新潮文庫で復刊...